おじさん:
「ところで、温泉って水を足すことがあるって知ってるか?」
中学生:
「水を足すって、どういうこと?温泉ってそのままじゃなくて、水を混ぜるの?」
おじさん:
「そうなんだよ。特に温度が高すぎる温泉では、入る人が火傷しないように水を足して温度を下げることがあるんだ。」
中学生:
「ふーん、でも水を足すくらいなら、そんなに悪いことじゃないんじゃない?」
おじさん:
「そう思うよね。でもね、水を足すことでいくつか問題が出てくるんだ。
まず一つ目は、温泉に含まれている成分の希釈。
温泉の中にはミネラルや硫黄など、健康や美容に役立つ成分が多く含まれて
いるんだけど、水を加えるとこれらの成分が薄まってしまって、
本来の効能が弱くなるんだ。」
中学生:
「でも、水を少し足すくらいならそんなに変わらないんじゃないの?」
おじさん:
「それがね、もう一つ大事なポイントは水道水なんだよ。
日本の水道水は世界的にも非常に安全といわれているけれど、
近年はそうとも限らないとも言われている。
特に水道局の民営化が進む中で、水の衛生管理の質に対する懸念も一部で
指摘されている。ただし、塩素や消毒剤の使用量の公表がなくて
直接的な証拠はないんだ。」
中学生:
「えっ、それじゃあ温泉の効果が台無しになっちゃうんだね。
じゃあ、水を足さない方が良いの?」
おじさん:
「その通り。加水を避けて、自然の温度を保つことが最善なんだ。
温泉が熱すぎるなら、冷めるまで待つか、昔の方法みたいに人力で冷ますのが
良かったり。人力は非現実的か・・・。
実は、草津温泉では昔、湯もみっていう方法でお湯を冷ましていたんだ。
女性たちが歌いながら大きな板を使ってお湯を混ぜて冷ますんだけど、
今では観光用の見世物になってしまった。」
中学生:
「へえ、草津温泉ってそんな方法でお湯を冷ましてたんだ!でも今は加水してるの?」
おじさん:
「そうなんだよ。草津温泉は硫黄成分が非常に高く、湯量も豊富
だから、加水せずに入るのが理想的なんだけど、あまりに熱すぎるから
今では水を足していることが多いんだ。
湯畑っていう観光名所が代表的で、本来その場所で源泉を冷ましていたと
聞いたことがあるけど、今は観光名所になっているんだよね。」
中学生:
「なるほど、だから水を足さないで自然に冷ました方が、温泉の本来の力を
最大限に引き出せるってことだね。」
おじさん:
「そうだね。温泉の効能をしっかり感じたいなら、できるだけ加水せず、
自然な状態で楽しむのが一番だよ。
草津温泉でも旅館の一部は加水していないで入れる場所もあると聞いたから
探せたら教えてくれよ。」
中学生:
「うん、探してみるね!」